一般社団法人波崎未来エネルギー

理事 遠藤道章

 

1.設立経緯(はじまりはNPO活動から)

・NPO法人波崎未来フォーラム(2001年設立)

・設立目的はまちづくり、青少年育成、環境保全

・設立メンバーは地元の若手経営者が中心(設立当時40歳前後)で50名ほど

(青年会議所、商工会青年部、漁協青年部、農協青年部 団体職員など)

・私たちの世代の責任として、次世代に伝え残さなければならない大切な物を考え、地域に対して今、出来る事を今すぐ行動していこう!

・2004年に主催した市民参加の大規模な海岸清掃「取り戻そう!美しい鹿島灘」(参加者7567人)が市民風車「なみまる」誕生へ(地域活動の資金確保)

・海岸清掃から学んだ事は、ひとり一人の行動(参加)の結集が、地域の維持(持続可能性)になる。

(一人ではとても困難なことも、結集することで可能になり、行動することで地域がつながる)

 

2.NPOと地域活動

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・地域の資源である「風エネルギーを」地域で生活する市民自らが風力発電事業として有効活用し、市民レベルの地球温暖化防止対策に取り組むとともに事業による収益を地域に還元して地域振興と環境保全の両立による地域活性化(持続性)、 市民参加によるまちづくりに貢献していく。

3.市民風車との出会い

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・高額な建設資金の調達に事業を諦めていたときに、北海道で市民が建設した風車があることを知り疑心暗鬼の状態で市民風車ファンドの説明会に参加。2005年に建設される石狩市への2基の風車建設資金(2億3500万円)が全国から集まった実績を目の当たりにして、市民風車ファンド2006に参加出来るように、事業を推し進めた。

4. 市民風車の事業スキーム

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5.市民風車「なみまる」建設までの経緯

・徹底した事業採算性の検証

・事業母体の設立(初期の開発資金調達)

・資金調達と技術的サポート会社との連携

・地域住民の理解と同意

・行政や許認可機関との調整

・資金調達と事業継続性の説明(地域及び金融機関)

・リスクに対する責任と覚悟

6.発電実績

年間発電量(kwh) 設備利用率(%) 年間平均風速(m/s)
2008年 3,529,567 26.1 5.91
2009年 3,713,911 28.1 6.18
2010年 3,729,558 28.9 6.23
2011年 3,392,012 25.8 6.02
2012年 3,593,969 27.4 5.85
2013年 3,478,850 26.5 5.81
2014年 3,072,091 23.4 5.63
2015年 3,131,461 23.8 5.70

7.NPOの活動実績

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8.新たな取り組み「太陽光発電事業」

発電所名 定格出力 発電開始日 年間発電量
1 砂山第1発電所 49.5kw 2013年9月 65,043kwh
2 波崎第1発電所 48kw 2015年4月 63,072kwh
3 砂山第2発電所 500kw 2015年7月 657,000kwh
4 矢田部第1ソーラーシェアー 100kw 2016年1月 131,400kwh
5 矢田部第2発電所 49.5kw 2016年8月予定 65,700kwh

9.地域で開発する再生可能エネルギーの意義と効果

・風力や太陽光発電はエネルギーを生み出すための燃料費が“0円“

・設備の建設費・維持費や保守管理費は必要だが自動運転、全量買取の為、販促業務の実務や費用が必要ない。(勝手に発電して、勝手に検針され、自動に入金(売上)される)

・設備投資回収後は極めて安価な発電が可能(エネルギー生産の持続性は極めて高い)

・エネルギー密度が低く連続生産は出来ない為、大規模火力や原子力発電の代わりにはならないが、地域で生活する一般家庭の電気は、地域で創ることが充分可能。

・大都市や産業で消費されるエネルギーの代替えにはならないが、全国で、その土地の特性を活かした  方法でエネルギー自給が進んだ結果、地域の生活者が使うエネルギーの代替えは可能だと考えます。

 

10.まとめ

・地域で生活する市民自らが、行動を起こすことで、地域に対しての理解と責任が生まれる。

多くの市民が参加することで、地域の思いが結集される。再生可能エネルギーは地方の市民の思いを収益を生む事業として、資金に変換できる可能性を持っています。国任せであったエネルギー政策をトップダウンではなく、地方からのボトムアップでエネルギーの自給を考えることが、地方再生への道へつながる。その手段を中央から地方へ取り戻す事が、次世代を担う未来の子供たちの選択肢になるのではないか!と考え活動を続けています。