東京発電株式会社 三島事業所
副所長 望月 透
Contents
1.深良用水(世界かんがい施設遺産)を活用した、水力発電
深良用水(世界かんがい施設遺産)は、約350年前の江戸時代寛文6年(1666年) 8月より深良側、11月芦ノ湖側よりトンネル工事をスタートし、寛文10年(1670年)に開通しました。通水後252年経た後、大正11年(1922年)に深良川第一・第二発電所、大正12年(1923年)に深良川第三発電所が運開し、現在も当社に引き継がれ運転しております。
※当時のトンネル工事は、タガネとツルハシで作業が行われており、現在も、トンネル内の随所に、タガネの跡が残っています。
全長:1280.3m、平均勾配:1/130、標高差:9.8m
深良川 第一発電所 |
深良川 第二発電所 |
深良川 第三発電所 |
|
最大出力(kW) | 3,100 | 1,600 | 1,000 |
最大使用水量(m3/s) | 1.67 | 1.67 | 1.67 |
有効落差(m) | 256.91 | 109.40 | 77.59 |
運転開始 | 大正11年11月 | 大正11年11月
平成27年3月水車改良 |
大正12年4月
昭和63年3月水車改良 |
一般家庭に供給軒数 | 5800 | 3000 | 1800 |
1年間で裾野市の一般家庭の約50%の電気を賄っている
H27年10/1現在 21,474世帯,53,194人 |
2.水力発電所のリパワリング事例
老朽化した水力発電所についても継続使用を前提に、水車・発電機・制御機器他の機器をすべて更新して、発電所のリパワリング工事を行っています。
リパワリング工事を実施する際には、その発電所が持つポテンシャルの最大化を目指して各機器の選定を行っています。
①深良川 第二発電所(静岡県裾野市)
- 改造前出力:1,400kW→改造後出力:1,600kW、最大使用水量:1.67m3/s、有効落差:109.40m、工事期間:約8か月
- 改造機器:水車・発電機、制御機器、変電機器、水圧鉄管一部取替、発電所本館
改造前
改造後
②白田川発電所(静岡県東伊豆町)
- 改造前出力:2,900kW→改造後出力:3,100kW、最大使用水量:2.07m3/s、有効落差:181.46m、工事期間:約9か月
- 改造機器:水車・発電機、制御機器、変電機器、水圧鉄管一部取替、発電所本館
改造前
改造後
3.水力発電所の再開発事例
三島事業所管内では、2か所の廃止されていた発電所の再開発事業を実施しています。使用可能な設備は修理し、使用できない設備は取替を実施して再開発を行っています。
① 落合楼発電所(静岡県伊豆市)
- 出力:100kW、最大使用水量:3.00m3/s、有効落差:4.80m
- 主な取替機器:水車・発電機、制御機器、変電機器、取水口(各門扉)など
② 須雲川発電所(神奈川県箱根町)
- 出力:190kW、最大使用水量:0.58m3/s、有効落差:42.19m
- 主な取替機器:水車・発電機、制御機器、変電機器、取水口(各門扉)など
落合楼発電所
須雲川発電所
4.未利用エネルギーの活用
東京発電㈱では、上・下水道施設や農業用水施設において、今まで使用されていなかった水エネルギーを活用した水力発電所を設置し、水エネルギーをお持ちの事業者様と協働でマイクロ水力発電事業「Aquaμ(アクアミュー)」を展開しております。
上水道施設設置参考例
用水路施設設置参考例